ファクタリングは合法だが闇金まがいの偽装ファクタリングも
まず違法ファクタリングと合法ファクタリングの線引は、貸金業に該当するかしないかと言う事になります。
契約書にノンリコース(売却した売掛債権等が返済不能な場合も、売却した事業者には返済義務が生じない)の規定があるとともに、経済的側面や実態でも判断されることになります。
貸金業を行うには財務局又は都道府県の登録を受ける事が必要です。また、貸金業の場合は利息制限法及び出資法の上限金利が適応されます。
ヤミ金融対策法(貸金業規制法及び出資法の一部改正法)では、登録業者・無登録業者を問わず年109.5%を超える利息での貸付契約を行った場合貸付契約は無効となり利息は一切払う必要がなくなります。
ファクタリングに対しての各種判例
貸金業に該当しないとされた判例
ファクタリング業者は償還請求権を有しておらず、売主としても債権の買戻しを予定していないことなどから、実質的にも債務者の不払いリスクがファクタリング業者に移転していると評価できる こと、対抗要件具備は猶予されているものの、ファクタリング業者の判断において具備が可能であったこと、債権額面と売買代金の差額(手数料)についても担保目的であることを推認させるような大幅なものということもできないことなどを総合考慮し、貸金業法は適用されないと判断された事案
(東京地裁令和2年9月18日判決)引用:金融庁
契約上、債務者の不払い等により回収することができなかった額につき売主が責任を負うものとはされておらず、実際に、債務者の無資力の危険についての負担がファクタリング業者に移転したものと認められること、また、債権額面と売買代金との差額(手数料)についても、実質的に担保目的のものであることを推認させるような多額のものではないことなどを総合考慮し、債権の確定的な売買であると判断された事案
(東京高裁令和4年6月15日判決)引用:金融庁
貸金業に該当するとされた判例
ファクタリング業者が譲渡対象債権に係る債務者の不払いリスクをほとんど負っていない、債権の額面とは無関係に金員の授受がされていたといった事情等を考慮して、金銭消費貸借契約に準じるものと判断された事案
(大阪地裁平成29年3月3日判決)引用:金融庁
ファクタリング業者が譲渡対象債権に係る債務者の不払いリスクをほとんど負っていない、債権の額面とは無関係に金員の授受がされていたといった事情等を考慮して、金銭消費貸借契約に準じるものと判断された事案(大阪地裁平成29年3月3日判決)債務者が弁済しなかった場合、売主が債権額以上の金額をファクタリング業者に支払う旨の公正証書を作成するなど、ファクタリング業者が負担すべき不払いのリスクを負担していないといった事情等を考慮して、貸金業法上の貸付けに当たると判断された事案
(東京高裁令和3年7月1日判決)引用:金融庁
売主は債務者の資力を担保しないと規定されているものの、譲渡債権の性質や、債権譲渡日から支払日までの期間の短さからして債務者による不履行の可能性は極めて低いといった事情等を考慮して、貸金業法上の貸付けに当たると判断された事案
(名古屋地裁令和3年7月16日判決)引用:金融庁
売主は債権譲渡が発覚すると、取引先(債務者)の信頼を損ね、事業の継続が困難になるため、何としてでも買戻期限までに譲渡債権を買い戻さなければならない状況にあったことをファクタリング業者も認識していたなど、事実上、譲渡債権を担保とする金銭消費貸借に近い経済的機能を有していたといった事情等を考慮して、貸金に関する各種規制を潜脱するものと評価し、公序良俗に反し無効と判断された事案
(札幌高裁令和4年7月7日判決)引用:金融庁
ノンリコースの規定は設けられているものの、抗弁事由が存在しないこと、支払い停止の状態にないこと、破産手続き開始原因が存在しないことなど、債務者における不払いの兆候等がないことについて、売主において表明保証することとされており、売主に債務の保証を求めているのに等しいといった事情等を考慮して、金銭消費貸借契約に該当すると判断された事案
(東京地裁令和4年3月4日判決)引用:金融庁
となっております。
非常に分かりづらいですが「売主が債権を買い戻す」「売主に債務の保証を負わせる」「売主の自己資金により支払いさせる」と言う事が貸金業に該当すると判断されるようです。
給与ファクタリングはどうなの?
前項でのファクタリングは、主に法人や事業主向けで、請求書などを買い取ります。
では最近よくある「給与ファクタリング」はどうなのか?結論から申し上げますと給与ファクタリングは違法とされています。
なぜ給与ファクタリングは違法と判断されるのか?
金融庁では
「給与ファクタリング」とは、個人が勤務先に対して有する給与(賃金債権)を対象に一定の手数料を徴収して買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて資金を回収するものをいいます。「給与ファクタリング」を業として行うことは、貸金業に該当します(貸金業登録が必要)。
引用:金融庁
となっており、給与(賃金債権)に対しては「ファクタリング」と言う枠では無いと言う事が言われています。
これはなぜかと言うと労働基準法の規定により、使用者は直接労働者に対し賃金を支払わなければならないとされており、債権の譲受人(ファクタリング業者)は直接債権者の会社に支払いは求められないので貸付と判断される=貸金業。と言う解釈になります。
財務局又は都道府県の登録を受けた事業者であれば法定金利内で通常の融資を行えば良いので「給与ファクタリング」と謳っている業者は「違法」と判断できます。
給与ファクタリングを利用してしまった場合
もしも既に給料ファクタリングを利用してしまい被害に悩んでいる方は闇金に強い弁護士・司法書士に相談することで取立てを止めることができます。
ケースによってお金を取り返すこともできるのでまずは相談することを強くお勧めします。
給料ファクタリングは闇金にあたりますが、通常の弁護士・司法書士は闇金に関する案件を嫌がるため「闇金(違法貸金業者)に強い弁護士・司法書士」への相談を強く勧めます。
給料ファクタリングとは?
ファクタリングとは債権売買取引の事で、違法なものではなく企業が資金繰りとして利用するものでした。
個人を対象にしたファクタリング債権売買取引
給料ファクタリングは企業ではなく個人を対象に給与を債権として売買取引をします。
"給料債権"という概念、それはファクタリングではない
給料債権とは将来、給料がもらえる権利を債権とみなすことを言います。
つまり給料ファクタリングとはその給料債権を売買することで法律上・債権の売買は貸金には当たらないことから、これまでグレーゾーンとされてきました。
給料ファクタリングの仕組み
給料ファクタリングの利用構図は以下のとおりです。
給料ファクタリングの仕組み
- 業者と契約を結ぶ
- 手数料を差し引いた給料債権の買取金を払われる
- 利用者の勤務先から通常通り給料が支払われる
- 得た給料を原資に手数料を乗せた清算金を払う
ここではかんたんに要約して解説します。
- 給料ファクタリング(給与債権売買取引)は手形割引や売渡担保などの方法に類する貸付行為と判断される
- 給料ファクタリング業者は貸付を行う貸金業者に当たる
- そのため手数料は金利として換算される
法律では貸金業者に対し以下の事が定められています。
- 貸金業者は国の登録が義務
- 年利109.5%以上の貸付は無効化+刑事罰対象
- 違法な原因で給付(貸付)された金銭は不法原因給付とし返還の義務を負わない
給料ファクタリング業者が無登録業者であることや、貸付金額に対し20%前後の手数料(金利に変換すると約600%超)を課していることから違法であると判断されます。
給与債権の取引が貸付と判断されることでその違法性が示されており、出資法・利息制限法による様々な制限に基づき給料ファクタリング自体成立しないものと考えられます。
つまり給料ファクタリング自体・通常の貸金業者と何ら変わらず、給料ファクタリング自体が闇金と判断されます。
給料ファクタリングのリスク
一見・違法ではないように見える"給料ファクタリング"ですが、利用すると以下のようなリスクを背負うことになります。
個人の弱みにつけこまれる
例えば"借金があること"や"借入を利用したこと"を「会社や家族に知られたくない」という方は多くいらっしゃいます。
契約時に渡した家族や勤務先などの情報を利用して脅され、無理に借金返済を強要される被害が相次いでいます。
悪質な取立て・嫌がらせ
上記した個人の弱みにつけこまれる例もそうですが過剰な電話や恫喝などこれまでの闇金と何ら変わりない嫌がらせや取立ての被害に遭うケースが多く、非常にリスクが高いです。
中には自己破産を選ぶケースも
苛烈な取立や嫌がらせの結果・返済できず自己破産を選んだ被害事例もあります。
たった数万円の利用があっという間に数十万円、百数万円単位にまで膨らみます。
何かと因縁をつけて返済を継続させる被害もあり、被害事例は闇金と同じものです。
今は違法性も示されており実質は闇金です。安易な利用は絶対に避けましょう。
給与ファクタリング業者が言う甘いメリットに騙されないで
今すぐ現金が必要という場合・冷静さを欠いてしまいがちですが給与ファクタリングの甘言に騙されてはいけません。
ファクタリング違法業者が謳うメリット
給与ファクタリングでは以下のようなメリットが掲げられていますが、これは"闇金"だからこそできるものです。
闇金が掲げる甘いメリット
- 即日で現金を用意できる
- 金融ブラックでも利用可能
- 信用情報を傷つけない
- パート、アルバイトOK
- 秘密性がある
- デフォルトリスクがない
webサイトなどでは低金利を謳っておいて難癖をつけて増額・別名目で金を巻き上げるケースもありメリットの引き換えに失うものの大きさは計り知れません。
ファクタリング手数料は法定金利を超える暴利
給与ファクタリングでは手数料の名目で利益を得ますが闇金(違法貸金業者)とみなされたからには手数料=利息として換算されます。
例)15万円の借入の場合
- 手数料を引いた10万円が融資される
- 給料日に手数料をたした15万円を返済
↓
手数料(利息)5万円
↓
年利・約600%
(最大法定金利の約300倍)
最大法定金利は年・20%、法律上・年109.5%を超える金利は違法とみなされ無効化されます。
契約と称した個人情報の入手
契約時にはご自身の住所や名前以外にも勤務先や家族構成などの個人情報を渡しますが、この個人情報を転売されたり・「勤務先にバラす」「家族に請求する」と脅迫の材料などに悪用されるケースが多くあります。
新たな闇金と言われる給与ファクタリングですが信用情報に関わらず現金を手に入れられる代わりに、多くのものを失うリスクがあります。
経済的に困窮している方を甘い言葉で誘惑しますが、従来の闇金被害と何ら変わりない事をしっかりと把握しましょう。
ファクタリングについてのまとめ
今回の記事を簡単におさらいしていきましょう。
給料ファクタリングは違法
今までグレーゾーンとされていましたが給料ファクタリングは違法です。
闇金とみなされるため安易な利用は非常に危険です。
給料ファクタリングのリスク
返済できなくなると個人の弱みにつけこまれ脅迫されたり、悪質な取立や嫌がらせをされるなど従来の闇金と何ら変わりない被害に遭うリスクがあります。
給与ファクタリング業者が謳う甘いメリットに騙されない
闇金が掲げる甘いメリット
- 即日で現金を用意できる
- 金融ブラックでも利用可能
- 信用情報を傷つけない
- パート、アルバイトOK
- 秘密性がある
- デフォルトリスクがない
給与ファクタリング業者は上記のような甘いメリットを掲げますが、闇金(違法貸金業者)だからこそのものです。
利用するとメリットの代わりに大きなものを失う恐れがあります。
一人一人の意識が重要
金融庁や司法で給与ファクタリングの違法性が示されたものの全ての給与ファクタリングを取り締まる法整備はまだできていません。
被害を避けるためには国民一人ひとりが給料ファクタリングについて以下のように認識する必要があります。
給与ファクタリングの認識
- 給与ファクタリングは危険
- 給与ファクタリングを利用しない
給与ファクタリングをもしも利用してしまった時は?
もしも給与ファクタリングを利用してしまった時は"闇金に強い弁護士・司法書士に相談"しましょう。
通常の弁護士・司法書士は闇金に関する案件に対して消極的なため、闇金に強い弁護士・司法書士を選ぶことを強くお勧めします。
日本闇金解決センターでは全国対応の実績豊富な闇金に強い弁護士・司法書士の紹介をしております。
分割払い・後払いなどの費用対応もしていますので、お悩みの際はぜひお気軽に無料相談をご活用ください。